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このコーナーでは、税に関する誤りやすい事例や雑感を記しています。

あくまでも税に関する解釈等は個人的な見解等であり、皆様の個別の案件にそのままあてはまるものではありません。

したがって、出版社の文献、国税庁QA、各種団体の見解等を参考に総合判断していただきますようお願い申し上げます。

所得税

 ○ 所得税及び復興特別所得税の確定申告は、いつからいつまでにすればよいの?

   令和元年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の受付は、令和2年2月17日(月)から同年3月16日(月)までです。
  なお、還付申告については、令和2年2月14日(金)以前でも行えます。

 (注意)

 申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限が令和2年4月 16 日(木)まで延長されました。

  (令和2 年 2 月 27 日 国税庁発表)

 根拠:新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から延長 法律:国税通則法第11条(災害等による期限の延長)

 ○ 確定申告で誤りの多い事例・わからない点は?

    

  ・  譲渡所得で非課税である「生活に通常必要な動産の譲渡」から除かれるものはとはどんなもの?

     30万円超の「貴石、半貴石、貴金属、真珠、及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並

    びに七宝製品」や30万円超の「書画、こっとう及び美術工芸品」等です。生活に通常必要な家具、什器、衣類やこの金額

    基準に該当しないジュエリー等は非課税なのでしょう。この「生活に通常必要な」は個人差がありそうですね。

     また、生活用動産を継続的に譲渡している場合は、事業所得又は雑所得と課税庁に認定されることもありそうですね。

     なかなか判断が難しい個別案件ですね。「サラリーマン・マイカー訴訟」なんか興味ある方は判例等調べてくださいね。

  ・  居住者(非永住者以外の者)が、国外で支払われる預金等の利子、国外にある不動産の貸付・譲渡による収益、国

   外の法人等に対する出資に係る収益など海外で得た所得を合わせて申告していない。

  ・  生命保険会社などから満期金や一時金を受け取り、同時に送付された書類で検討した結果、その収入が一時所得と

   して申告すべきものを申告していない。

  ・  高額療養費、出産育児一時金や生命保険会社・損害保険会社からの入院給付金などで補填される金額を支払った

    医療費の額から差し引いていない。(ただし、差し引く金額はその給付の目的となった医療費の金額を限度とします。

    要は、補填の対象となる医療費ごとに補填金の差し引き計算を行うこと、即ち、支払った医療費の額を超える補填金を

    他の病気にかかる医療費から差し引かないということです)

  ・  本人が、配偶者の年金から控除されている介護保険料等を生活を一にしているとして社会保険料控除の対象とした。

     「年金からの天引きで、明らかに支払ったのは配偶者」であるため本人に含めることはできない。

​  ・  未納の社会保険料を含めて所得控除をしている。

  ・  国民年金保険料を「2年前納」したが、どう処理したらよい?

     全額を収めた年に2年分控除又は各年分の保険料に相当する額を各年に控除のいずれかを選択すればよい。

  ・  過年度の未払保険料一括して支払った場合は?

     過年度に遡及して控除せず支払った年分において支払った金額を控除します。(延滞税は除きます)

  ・  年の中途で配偶者と死別した場合の配偶者控除、寡婦(寡夫)控除は?

     配偶者控除の規定に該当して配偶者控除を受けても、寡婦(寡夫)控除の規定の適用も受けれます。

   ・  確定申告を行う場合には、ふるさと納税ワンストップ特例の適用に関する申請書を提出している方であっても、ふるさ

    と納税の金額を寄附金控除額の計算に含める必要があるのにしていない。

  ・  合計所得金額が1,000万円を超えている方は配偶者控除及び配偶者特別控除を受けることができないのに、控除して

    いる。
    また、配偶者控除を受ける方(配偶者の合計所得金額が38万円以下の方)は、配偶者特別控除を併せて受けること

    ができないのに両方控除している。

  ・  青色申告者が期限後申告しているにもかかわらず、青色申告特別控除をしていた。

  ・  振り込め詐欺による被害額を雑損控除の対象としていた。雑損控除は「災害又は盗難もしくは横領」を対象」

  ・  入居した年及びその年の前後2年以内にマイホームを売却した場合などに譲渡所得の課税の特例等(3,000万円

    の特別控除など)を受けたときは、住宅借入金等特別控除を受けることはできないのに特別控除している。

     また、住宅取得等資金の贈与の特例を受けている場合には、住宅借入金等特別控除額の計算において、その特例を

    受けた金額を住宅の購入金額から差し引き計算する必要があるのにしていない。

  ・  予定納税額があるのに記載漏れとなっている。

     税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が送付されている場合は、確定申告において

    定納税額(第1期分と第2期分の合計額)を申告する必要があります。

   

法人税                     2.1.27(月)

未払決算賞与の計上について

 会社決算で利益が大幅に増加しそうだ、「税金払うの嫌だしなんか損金になるものない?」として、決算期末に従業員に決算賞与を未払で計上する法人があります。「従業員の士気を高める決算賞与を来期に出してもいいけど、来期どんな決算になるかわからないし、未払でも損金計上できるなら利益の出そうな今期中にしよう」等・・・

 でも、ちょっと待って、色々と問題になるケースがありますよ。

 確かに、法人税法施行令に 

(使用人賞与の損金算入時期)

第七十二条の三 内国法人がその使用人に対して賞与(給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち臨時的なもの(退職給与、他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの、第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式によるもの及び第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権又は承継新株予約権によるものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)を支給する場合(第三十四条第六項(役員給与の損金不算入)に規定する使用人としての職務を有する役員に対して当該職務に対する賞与を支給する場合を含む。)には、これらの賞与の額について、次の各号に掲げる賞与の区分に応じ当該各号に定める事業年度において支給されたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。

一 労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。) 当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

二 次に掲げる要件の全てを満たす賞与 使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度

イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。

ロ イの通知をした金額を当該通知をした全ての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から一月以内に支払つていること。

ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

三 前二号に掲げる賞与以外の賞与 当該賞与が支払われた日の属する事業年度

とあります。

 

 通常、同施行令二号により、決算末までに、各人に賞与支給額を通知し、当該通知した事業年度終了の日の翌日から一ヶ月以内に当該賞与額を支払うこと、通知事業年度において「賞与/未払費用」の損金経理をして問題はないと思っていたところ、

 税務調査時に、「貴社の就業規則では決算賞与の支給予定日が翌事業年度となっている」として同施行令一号により、当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度、即ち、損金計上できるのは翌事業年度と指摘されます。

 法人担当者の就業規則又は労働協約の読み込み不足が原因となります。

 また、就業規則又は労働協約がない、あるいは、賞与支給規定がない法人では、期末までにすべての使用人に支給額を通知するという要件を満たさない、例えば、連絡のつく人だけに通知したとか全ての使用人に通知していないケース、支給通知書の日付けを実際の通知日である翌事業年度から損金にするために当該事業年度に仮装する(重加算税対象)ケースがあります。

 税務調査官からみれば、一人でも当該事業年度に通知していないことが立証できれば、否認することに・・・。特に、多額な決算賞与は必ず上記視点で検討されるのでしょうね。

​ 調査で指摘されないよう、日頃から正しい申告に心がけてください。

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